映画未視聴コンプレックス

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映画【グリーン・インフェルノ】感想 ネタバレ有

 2023/05/05視聴。何やら食人族の映画があるらしいというのは知っていました。

 怖そうな映画や痛そうな映画が苦手なのですが、Netflixの一覧に出てきたので怖いもの見たさで選びました。

 

 広大なジャングルの上空映像から始まり、その自然を開発していくブルドーザー、そしてそれを見つめる原住民……といった感じで話が始まります。

 寮の外で行われる抗議活動の声で目が覚める主人公の女性ジャスティンですが、徹底的に世間知らずな感じで描かれていました。講義で女性器切除の儀式の話を聞いた時にも、警察は何をやっているの!?私の父は国連の弁護士です!何とかできるのでは?!的なことを発言していて、傲慢な感じがしてやだなと思いました。大きいひげの男性ジョナが主人公を環境活動家の会合に誘いますが、ジョナはジョナでスクリーンに映し出された儀式の写真をスマホで撮ったり、主人公への好意を周りに悟られるほど出してたりと何だかいけ好かなかったです。

 講義のシーンでは、先生が「では次に、蟻責めの写真を……」って言って蟻の写真がスクリーンに映されるところで場面転換しました。

 

 先住民族を助けたいという環境活動家グループのリーダー・アレハンドロが初めて会合に参加した主人公の発言に怒って退室を促すシーンは、主人公がリーダーにカリスマ性を見出して少し惹かれているのもあってか、こういう手法で人を引き込むのが計算だったら怖いなと思いました。翌日リーダーのアレハンドロを探して謝罪するもなかなか受け入れてくれないのもそういう手口に見えました。最終的にデモのやり方をレクチャーしてくれとお願いする主人公がまんまと罠にはまっていってる感じがして怖かったです。

 アレハンドロの彼女に主人公が釘を刺されるシーンもあり、このひとも何かやらかすな……と思いました。実際にやらかしましたが、そこまで酷い目には合わず早々に退場したので拍子抜けでした。

 活動実行の日には、金髪の友達が危険だと止めるのも聞かず、父に止められるも強引に電話を切って旅立ち……。とにかく主人公のジャスティンが真面目というか世間知らずというか頭でっかちというか、由緒正しい裕福な家庭で大事に育ったお嬢様といった感じでした。何だかんだで金髪の友達がいい子で、最後まで主人公の身を案じているところがよかったです。

 現地で合流した、仲介人だという男性カルロス(スポンサー)のサングラスをとった顔がかっこよかったです。

 現地にだいぶ近づいたところで、リーダーが傭兵が撃ってくる可能性を示唆して不安になる一同に対し、我々の活動に強制はない、帰りたい奴は帰れというシーンも怖かったです。今更帰るとは言えないですよね……。

 船で3時間以上移動するシーンで、岸辺にクロヒョウ(ブラックジャガー)がおり、ヤハ族にとって自然を守ると信じられており、罪人は地獄に送るとされている話を聞きます。

 現地に到着して着替え、いよいよ実行という時にリーダーがみんなに仮面を渡しながら”これは個人のためじゃない、大義のためだ、仮面で一つの顔になる、立ち上がれ、歴史になる”というようなことを言って鼓舞しますが、胡散臭くて素直にみてられなかったです。活動の結果としては、実はリーダーが国連の職員の娘である主人公の命を盾にした計画を立てていて、その思惑通りに事が運んで大成功していました。人の命を餌にしたくせに、やりきったという感じでリーダーと彼女と微笑み合うシーンが気持ち悪かったです。主人公はそんなこと知らなかったため大憤慨していましたが、帰りの機内はお祝いムードで、喜び合え、自分でやりたがって来たことだと主人公へ言うリーダーが重ね重ね嫌でした。

 その後飛行機が出火して機内は大パニックになり、墜落中も墜落後も人がどんどん減ります。そして身体を真っ赤に塗った先住民のヤハ族に見つかってサクサク射抜かれていきます。主人公らは麻酔吹き矢打たれて一瞬で眠ってましたが、普通にすごく痛そうだし、感染症とかもやばそう……。

 生き残ったメンバーがヤハ族の村に連れていかれるシーンも怖かったです。ジャングルの緑に対して補色の赤が映えていました。連れていかれてる最中も村に入ってからも、とにかく村人たちからもみくちゃに頭を撫でられていて、こんな真っ赤な知らない人たちに囲まれて撫でくり回されるの、すごく怖いなぁと思いました。

 パイ〇ーツみたいな格好をした長(おさ)的な女性が出てきてみんなを品定めして、ジョナだけ大きい岩の上に連れていかれてサクサク解体されます。いくら食人族とはいえ、素手で舌をがっちりつかんで切り取るのとか、腕やら足やらもぐのとか早過ぎないか?と思いました。自分の舌をつかんだことがある人ならわかると思いますが、舌って滑ってうまくつかめないですよね。その後は料理していくシーンでしたが、塩的なものを振ったり包み焼き的なことをしたりで見てられないほどグロいシーンではなかったです。この時、檻に入れられていた主人公がラーズという男性を抱きしめるように頭を抱えていて、え?そういう感じ?となりました。

 夜になり、ここでリーダーは、実は今回の活動は名前を売るためのPR活動だと暴露します。カルロスは雇われた人でお金を得られて、自分らは名を売れた、先住民はいずれ滅びる、次の開発業者が同じ傭兵を雇ってここへ来る、これが世の中の仕組みだ、良い奴も悪い奴も繋がっている、というところはメッセージ性を感じました。エイミーという女性の恋人で、タトゥー目立ちめの女性サマンサが脱出を試みるといって檻から出ようとして速攻で監視役に吹き矢で打たれてました。この吹き矢、即効性高すぎる……針部分まさか使い回してないよね……。

 村に来た時から檻越しに静かに主人公を見つめていた子供が、主人公のネックレス(由緒正しいやつ・笛になっている)をいじっていたため、吹いて見せる友好ポイントを貯めていく主人公。そのあと女性陣は連れていかれ、長(おさ)的な女性が牙?骨?のようなとがったもの持っており、ズボンを脱がされた女性陣に次々刺すシーンが観ていてきつかったです……血をおでこになすられるのも嫌すぎるし、その牙ってジョナの目ぇくりぬいたやつじゃないよね……?と思いました。主人公以外のみんなは檻に戻され、またも脱出を企てるタトゥー女性のサマンサが、何とか檻を抜け出し岸辺にある船へ駆け寄っていくところで暗転しました。暗転した時点で絶対駄目じゃん……と思いました。

 次は村人たちの生活シーンから始まります。身体中に何やらペイントされた主人公が檻に戻され、ご飯が運ばれてきて、脱出するには栄養をつけないととみんなで出されたごはんを食べますが、エイミーはそれが恋人のサマンサだと気づき、割ったお椀で首を掻き切って死んでしまいます。判断がかなり早かったです。みんなで亡くなったエイミーの口に詰め物(マリファナ)をしたり口から棒をさしたりしている横で、ストレス発散のためと自慰を始めるリーダーのアレハンドロ、ここまで来ると、こんなに突き抜けたやつはのちにもっととんでもないことやらかすのでは?と不安がわきました。GPSの話を何度もする男性ダニエルが怒ってリーダーの首を絞めたところで偉い人っぽい男が来て、咄嗟に主人公に覆いかぶってかばうラーズが良かったです。

 マリファナごとエイミーが料理されたため村人たちはハイになり、その隙に逃げ出そうとしたところ、檻に刺さってた麻酔吹き矢でラーズの足を刺して眠らせるリーダー、最悪です。主人公とGPSのダニエルはとりあえず森へ逃げます。目が覚めたラーズは、ハイな状態の村人に取り囲まれて生きたまま寄ってたかってかじり殺されます。ラーズはそこまで悪いひとじゃなかったんじゃないかなと思いました……。

 主人公とダニエルが川へ飛び込んだところ、かなり深くてそのまま流される主人公ですが、助けて!ダニエル!ダニエル!ダニエル!と騒いで、ながーい枝で助けてもらってました。最初に墜落した場所を見つけ近寄ると、その場で死んだひとたちが棒に刺され、あたりには火が焚かれていました。確実にヤハ族がいる……。見つけたGPSはバッテリー切れで、棒に刺された人のポケットから携帯を取り出したところ倒れた死体の下敷きになり、助けて早く!早く!と騒ぐ主人公。またも吹き矢されます。

 主人公が目を覚ますと縛られており、どんどん白く塗りたくられていきます。ダニエルはダニエルで棒に縛りつけられて大きい骨的なものでガンガンに殴られ、緑のものを塗りたくられ、大きい大量の蟻にたかられます。最初の講義のシーンの蟻責めってこれのことか!と思いました。でも、食料(人体)は貴重じゃないのかな?蟻に食べさせていいのかな?

 主人公は目元だけヤッターマンのように赤く塗られてもういよいよというところで、笛を吹くところを見せていた子供が手縄を切ってくれて、隙を見て何とか逃げ出します。大人の持ってた(眠らせる系の)粉を吹きかけて返り討ちにするまでは分かりますが、顔中に繋がっているピアスをひきちぎりお腹を蹴飛ばして走り去ったときはぎょっとしました。子供が主人公を逃がしたあとからヤハ族の子供と大人が追いかけてきて、逃がした子供に何やら荒い語気で言い放っていましたが、あのあとこの子が悪い目に合わないといいなと思います……。川岸でヤハ族に追い付かれますが、向こう岸にクロヒョウがおり、そのおかげか逃げ切ることができました。

 森を進むとヤハ族が傭兵と紛争真っただ中で、何やかやあって傭兵につかまり、紛争も何となく収束しました。離陸していくヘリを見て、檻から空へ叫ぶリーダーが吹き矢で撃たれるところはよかったです。食べられるところまで見たかったです。

 ヘリに乗る際も帰った先でも主人公は、墜落して全員死んだと嘘をついていました。先住民のおかげで助かった、怒りや敵意がなく安心して過ごせたと証言し、食人族ではないかとの噂も否定していました。正直何で嘘をつくのかわかりませんでした。当初の目的を完遂するために、あんな極限状態で保護された直後から嘘をつき通してるってことでしょうか……。たしかにヤハ族は怒りも敵意もなく、ただ日々の暮らしの中で手に入った人肉をさばいて食べただけなのかもしれませんが、主人公が嘘をつく理由があまり理解できなかったです。

 その後主人公は悪夢にうなされていましたが、あんなに周りで人が殺され食べられ、恐らくそれを自分も口にしてしまったのに、悪夢に出るのがリーダー復帰(からの首元にくらいつく)なの、本当に怖がっている感じがして良かったです。

 窓の外ではまた別のデモが行われている……で終わりかと思ったら、リーダーの妹から「衛星写真でアレハンドロらしき人を見つけた」という電話がきたところで終わりました。

 

 思っていたほどグロすぎず、どちらかというとヒトコワ系の映画に感じました。保護活動”してあげる”といってわざわざ乗り込んできた人たちであっても、ヤハ族にとっては食料でしかなかったんですね。